海外FXは海外の会社を使用するとしても、年間で一定の取引利益が出ていれば税金の支払い義務が生じます。
国内FXよりも高い税率が課せられるので、税金対策を行う事が重要となるのです。
税金対策をすることで余計な税金を支払わずに、取引利益を効率よく手元に残せます。
このページではそんな、海外FXの税金対策というテーマで、対策方法や注意点を詳しく解説していきます。
海外FXの税制区分
海外FXで出た利益は総合課税制度で決まります。FX以外に所得収入がある場合は合算して計算される方式です。
総合所得 | 課税率 | 控除額 |
195万円以下 | 15%(所得税5%+住民税10%) | 0円 |
195万円~330万円 | 20%(所得税10%+住民税10%) | 97,500円 |
330万円~695万円 | 30%(所得税20%+住民税10%) | 427,500円 |
695万円~900万円 | 33%(所得税23%+住民税10%) | 636,000円 |
900万円~1800万円 | 43%(所得税33%+住民税10%) | 1,536,000円 |
1800万円~4000万円 | 50%(所得税40%+住民税10%) | 2,796,000円 |
4000万円以上 | 55%(所得税45%+住民税10%) | 4,796,000円 |
日本は累進課税制の採用により、総合所得が多いほど税金も高くなる仕組みです。海外FXで出た収益と本業やアルバイトで得た給与所得が同じ区分で計算されます。
次に、海外FXで収益を得た際にどのようにして税金対策をしていくのかを解説します。
FX取引をしてからでは遅い方法もあるので、事前にしっかり把握しておきましょう。
ボーナスを使った節税対策
海外FXでは、会社によって豊富なボーナス制度が提供されています。
- XM Trading
- FXGT
- IS6FX
- iFOREX
それぞれボーナス額や付与条件は異なりますが、このボーナスを活かすと節税にも繋がるのです。
- A社:入金100%ボーナスで10万円(証拠金20万円)
→取引後20万円の損失 - B社:ボーナス制度無し(証拠金10万円)
→取引後30万円の利益
A社で20万円の損失が出る一方で、B社では30万円の利益が出たとします。
この場合ではA社での入金は10万円しかしていませんが、損失の出た20万円がまるまる損失として計算されるのです。
つまり、B社で30万円の利益-A社の損失20万円で課税対象額は10万円となります。
所得控除で課税対象額を減らす節税対策
日本の税制では所得控除という制度があります。
- 生命保険
- 住宅ローン
- 社会保険/国民健康保険料
- 医療控除
- 配偶者控除
上記以外にも、個人確定拠出年金などを利用した場合に支払った分が所得控除として認められる仕組みです。
給与や事業所得+海外FXでの利益からこのような所得控除を差し引くことで、課税対象となる所得を抑えられます。
申告の前年に支払った控除対象は、いくら払ったかが分かる証明を残しておくといいよ。
海外FXにかかった費用を経費として計上する
海外FXにかかる経費を確定申告時に計上すると総合所得が抑えられます。日本では累進課税制度といった、所得額に応じて税率や支払う税金が変わる仕組みになります。
所得が多いと納税する額も多くなるので、経費を計上しておくと課税額が減る仕組みです。
給与所得+海外FX利益-経費=課税所得額
海外FXでの税金は国内FXの場合と異なり、給与所得+海外FXの利益で計算されます。
それに経費を差し引くことで、課税所得額を抑えられて節税対策に繋がるのです。
経費として申告できるのは、海外FX取引に必要なものに限ります。
関係のないもので申告したら、調査が入った際に不正とみなされペナルティや処罰の対象となるので注意しましょう。
- FXの関する本や情報商材の代金
- FXに関するセミナー代やその交通費
- 自動売買のツール
- 家賃や光熱費
- レンタルサーバー代
上記のようなものが経費の例として挙げられます。
海外FXに関する書籍代や情報商材など
海外FXに関する本や新聞図書費は経費として計上できます。
例えば本屋さんの投資コーナーに置いてある、FX入門書やテクニカル分析の書籍などが対象です。
海外FXを始めるにあたってまずは勉強を行いますが、本を使って勉強を始める方はその購入した際の領収書をとっておきましょう。
また、海外FXの情報収集に必要な有料のニュースサイト購読料や、メルマガなども計上可能です。
海外FXに関するセミナーやその他関連費
海外FXに関するセミナーや、その関連費用は経費として計上可能です。
関連費用はセミナー開場まで行く際の交通費などが対象となります。
- 市場動向の情報交換時にかかった飲食代
- 情報交換の際にかかった交通費
上記のようなものも経費として計上可能です。
自動売買ツールの費用
海外FXでは、MT4上で起動させる自動売買ツール(EA)を使って取引する方が多くいます。
EAは自作すれば無料ですが、人や業者から購入すると費用が発生するものです。
この時にかかった購入費は、海外FXにかかった経費とみなされて計上ができます。
家賃や光熱費
海外FX取引を行う際の家で発生する家賃や高熱費は、場合によって経費で計上できるケースもあります。
- 賃貸物件の一部(部屋のスペース)でFX取引
→認められないor一部の家賃光熱費のみ経費となる - 賃貸物件をFX専用の部屋として借りる
→全額認められる可能性が高い
一部の場所であれば他の作業をしている場合もあるので、認められたとしても限られた家賃や高熱費のみです。
しかし、部屋を完全にFX専用の家として利用している場合は、家賃光熱費の全額が経費として認められる可能性が高くなります。
文具やノートなどの事務用品
文具やノートといった事務用品は、海外FX関連のものであれば経費として計上可能です。
メモをするノートやペン、その他関連する事務用品などが対象となります。
海外FX用で購入したものは、全ての領収書を残しておくようにしましょう。
スマホやPCなどの購入費
海外FXで取引をする際に、スマホやPCは必須となります。取引だけではなく、口座開設や入出金といった操作も端末を使って行わなければいけません。
スマホやPCは安いものではないので、分割払いなどで購入する方が多いです。
10万円以下であれば単年での経費計上が認められやすくなります。
- 10万円以下→翌年の確定申告で計上
- 10万円以上→複数年に分けて確定申告で計上
この例は分割購入した場合でも一括払いした場合も同じです。
10万円という基準が明確なルールであるわけではありませんが、あくまでもスムーズに計上できる場合を指しています。
後に税務署から調査が入った場合を考えると、スマホやPCはFX専用のものを購入しておくことが良いでしょう。
高機能な端末ではなく10万円以下の端末を購入して、都度経費で計上することがおすすめです。
通信費はFX取引に使った割合を計上
海外FXをするには、パソコンかスマホから取引をする必要があります。この時にかかる通信費も経費として計上可能です。
しかし、FX専用ではなく他の用途でも使っていた場合は、全額が計上できるわけではありません。
通信料÷(FXで使った時間‐他の用途で使用した時間)
このように計算をして、使用時間から判断した分の通信費を経費にする必要があります。
だからこそ、FX専用のデバイスとして持っておき、全てを計上できるようにしておいた方が楽ですよ。
この通信費はWi-Fiなどの料金でも同じ事が言えます。
Wi-Fiのインターネット通信を他の用途でも利用している場合は、FX取引分だけを計算して計上が可能です。
VPSの費用
自動売買を稼働させるには、VPSを利用する方が多いです。
VPSとは?!
仮想専用サーバー。
インターネット上で自身のMT4が起動できるので、自動売買を使う際にPCを稼働させないで良い。
VPSを使わないとEA稼働中は常にPCを起動させないといけないので、ほとんどの方はVPSを契約します。
月額制の会社がほとんどですが、海外FXにかかる費用となるので経費として計上が可能です。
自動売買を稼働する際に使うVPSは月額費用を経費として計上できます。
VPSは導入後に、スマホやPCを使って初期設定を行わなければいけません。
また、EAの稼働停止する場合や、進捗状況をチェックする際もスマホやPCからの遠隔操作を行います。
その場合でも海外FXにかかった経費として計上が可能です。
VPSの月額費用+VPSの操作に使うPCやスマホの端末代金と通信料
ここでも使うPCやスマホが他の用途で使われていた場合は、 使用時間の算出をして割合分の通信料と端末費を計上する必要があります。
海外FXの取引では、裁量トレードを全く行わず自動売買の稼働しか取引をしないという方も一定数いるでしょう。
そのような方は、自動売買の遠隔操作用にスマホやタブレッド端末を用意しておくことでスムーズな経費の算出が可能です。
FXの取引手数料は経費計上できる
また、海外FXにはECN口座という取引毎に手数料が発生する口座があります。ECN口座では、スプレッドが狭い代わりに取引毎の手数料がかかります。
ECN口座とは?!
インターバンク市場と同等価格の狭いスプレッド環境で取引できる口座。
スプレッドがほとんどつかない代わりに、一定の手数料を海外FX会社に支払う。
会社名 | ECN口座の取引手数料(1ロット往復) |
XM Trading | 10ドル |
AXIORY | 7ドル |
TitanFX | 7ドル |
BigBoss | 9ドル |
この手数料は取引毎に発生するので、取引量が多ければ多いほど高くなります。
しかし、明確にFX会社に支払う手数料として区分されるので、申告時に経費として計上できるのです。
取引毎にかかるスプレッドは実際に払うものではないので経費として計上できません。あくまでもECN口座のような取引手数料のみとなります。また、入出金にかかった海外銀行送金時の手数料は経費として認められる場合が多いです。
ふるさと納税を使った節税対策
海外FXで出た利益に対して、ふるさと納税を活用すると効率的な節税に繋がります。ふるさと納税とは、全国各地の自治体に寄付をして返礼品を貰う制度です。
寄付金のうち2000円を超える手数料であれば翌年の住民税や所得税が控除されます。
一見全く関係のないものに感じる方が多いですが、実は相関性のある税金対策になるのです。
寄付できる金額は収入が高くなればなるほど上がり、より多くの返礼品が貰えるようになります。海外FXで利益が出た場合、ふるさと納税を活用すると大きなメリットがあります。
法人口座で節税対策
海外FXで法人口座を作ると、経費の幅が広がって節税対策に繋がります。
- iFOREX
- AXIORY
- HotForex
全ての会社で開設できるわけでは無く、法人口座が開設できる海外FXは一部の会社のみです。
種別 | 個人口座 | 法人口座 |
海外FXに関する書籍 | 可能 | 可能 |
海外FXに関するセミナー代 または交通費 |
可能 | 可能 |
役員報酬 | 不可 | 可能 |
各種保険 | 不可 | 可能 |
パソコン代など | FXで使う割合のみ | 原則全額計上 |
退職金 | 不可 | 可能 |
個人口座では、パソコン代などが海外FXで使う分のみと限定的ですが、法人口座ではランニングコストとして全額が経費計上できます。
また、退職金積み立てや各種保険代も計上することで、個人口座よりも有利な節税対策ができるのです。
役員報酬として法人口座での利益を自身に渡すと、個人にかかる所得税+法人税で結果的に節税とならない場合があります。法人口座での運用をする方は、事前に税理士に相談したうえで節税対策をするといいでしょう。
海外FXの節税対策まとめ
海外FXの節税対策についてまとめました。
- 海外FXでの利益は給与所得や事業所得と合算して課税される
- 税金対策で課税対象額を減らす
- 所得控除で課税対象を減らせる
- ボーナスを使って損失が出ても他社との内部通算で税金対策となる
- ECN口座でかかる取引手数料は経費として申告可能
その時は大きな利益が出て喜んでいても、翌年の税金に悩まされるという方はとても多いです。
そのため、FX取引をする際は税金対策をしっかり行ったうえで臨むといいでしょう。
国内FXに比べると海外FXの税制負担は大きなものに感じるでしょうが、その分低リスクで高い利益が見込めます。
必要な税金対策はしっかりしたうえで、手元に残るお金を多くできるようにしていこう。
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