海外FXでは、両建てでリスクヘッジをする方が多いです。
両建てはリスクの小さい有効な取引手法として有名ですが、使い方を間違えると損失を出す可能性の方が上回ってしまいます。
両建てを行う時は、相場状況や使い方をよく理解しておかなければいけません。
本記事ではそんな両建ての概要や使い方について詳しく紹介していきます。
海外FXの両建ての仕組み
両建てとは1つの銘柄に対して、買いと売りの両方でエントリーする手法を指します。1つのエントリーポイントでロング(上昇予想)とショート(下落予想)をする手法になります。
- 相場が上昇した場合
→ロングエントリーは利益、ショートエントリーはマイナス - 相場が下落した場合
→ロングエントリーはマイナス。ショートエントリーは利益
このように、どちらか片方は確実に利益となります。
利益が出たポジションを先に決済して、マイナスとなったポジションが価格を戻した際に決済をすれば利益となる仕組みです。
上のチャートのように、最初に下落してきたら売りポジションを利確、その後相場が転換してきたところで買いポジションを利確すれば安全に利益の確保ができます。
売りと買いの両方を保有している間は、価格の変動に関係なく損失が出ない仕組みです。
両方のポジションを持っていると、証拠金維持率を一定に保てるので保有中はロスカットの心配がありません。
海外FXでは有効なリスクヘッジの手法として人気があります。
両建ての有効な使い方
次に、どんな場面で両建てを使ったらいいのかを解説します。為替相場はトレンド相場とレンジ相場に分かれます。
トレンド相場
→価格が一方方向に伸びる相場
レンジ相場
→一定の価格水準を行き来する相場
両建てを使う際は以下2つの方法があるので、それぞれを詳しく見ていきましょう。
- レンジ相場を狙う手法
- スワップポイントのサヤどり
レンジ相場を狙う手法
まずは、レンジ相場で両建てを使う手法です。
レンジ相場
価格が一方方向に伸びず、一定の価格水準を行き来している相場。
レンジ相場では上下の波がはっきりしていることから、両建てが最も有効な相場と言えます。
事前に買い売りの両方を持ったとしても、その後に来る赤と青の〇部分で決済をすれば利益が出ます。
レンジ相場の価格が上下になるという特性を活かすことで両建てでリスクを抑えた投資ができるのです。
- レンジの期間が長くなっている場合
- ローソク足のサイズが徐々に小さくなっている
上記のような箇所は、トレンド相場が来る前兆として捉えられます。
FXではトレンドを狙う事で大きなpipsが獲得できますが、両建ての場合はトレンドになると損失を出しやすいです。後ほど注意点で詳しく解説します。
スワップのサヤどり
FXでは2国間の通貨ペアで取引を行います。
この通貨には国の中央銀行の定めた金利が存在しており、金利の高さは通貨によってバラバラです。
スワップポイント
各国の通貨金利差で発生する報酬。
金利の低い銘柄を売って高金利通貨を買うと保有している間毎日受け取れる。
スワップポイントは、エントリーの方向性によってプラスかマイナスかが異なります。
スワップ例
トルコリラ/円
買い→トルコリラ(高金利)を買って円(低金利)を売るのでプラス
売り→トルコリラ(高金利)を売って円(低金利)を買うのでマイナス
このようにエントリー方向によっては、マイナスの金利差額を支払わなければならないケースもあります。
プラススワップ>マイナススワップ
まれにプラス分のスワップがマイナスの額を上回る場合があります。
その状況では、両建てをしていれば差額分が毎日付与されるので、低リスクでコツコツと利益を上げられる仕組みです。
上の画像は、2021年8月時点でのGEMFOREXスワップ表です。
USD/JPYで見た時に買いと売りの両方でプラスのスワップがついていることが分かります。
円換算すると1ロットあたりで50円ほどのスワップが付くので、月ベースで保有すると1500円ほどは低リスクで保有できる計算です。
スワップは金利の状況や海外FXの提示するレートによって変動しますが、このようにタイミングよく両建てをするとサヤどりで低リスクの長期投資が行えます。
両建てをする際の注意点
次に、両建てを行う際の注意点について紹介します。
両建ては低リスクの手法ですが、使い方を間違えると損失や禁止取引に抵触する可能性もあるので注意しましょう。
トレンド相場では危険
レンジ相場では両建てが有効と解説をしましたが、トレンド相場になると危険であると覚えておきましょう。
以下のチャート画像をご覧ください。
初動で大きな下落をしたところで売りのポジションを決済したとします。
しかし、その後相場が上昇することはなく、下落方向に強いトレンドが出てしまいました。
利益の出ていた売りポジションは決済しているので、残っているのは損失が出ている買いポジションのみです。
証拠金維持率がずっと低下してしまうので、最悪ロスカットの危険性も出てしまいます。
相場の先読みは分析能力が向上しないと難しいものであるため、レンジかトレンド判断のできない状態では安易に両建てをしないようにしましょう。
両建ての禁止事項
海外FXでは両建てに関して共通のルールが設けられています。
- 複数口座間での両建て
- 複数社を介した両建て
上記の取引はほとんどの海外FXで禁止されている行為です。
この両建て行為はゼロカットの悪用とみなされており、各会社で厳しく取り締まりをしています。
A社で買いポジション→上昇して大きく利益が出る
B社で売りポジション→上昇後にゼロカットされる
ゼロカットシステムは、口座残高がマイナスになってもマイナス分を海外FXの会社が負担をする制度です。
複数社を介して両建てをすると、ゼロカットになった方の会社は負担を強いられることになります。
必ずどちらかの会社が損をしてしまう事から、業者間共通の禁止取引とみなされているのです。
会社によっては両建てそのものを禁止している会社もあるので注意しましょう。
エントリー時はスプレッドによりマイナスからのスタート
上の画像は、同じタイミングで買いと売りのエントリーをした場合の損益を表示させたものです。FXでの取引は、取引毎にスプレッドが発生します。
スプレッドは買いと売りのエントリー方向に関わらず発生するので、両建てをしている時点ではスプレッド分のマイナスが発生した状態であると覚えておきましょう。
つまり、両建てで2つのポジションを持っている状態では、常に損失が出ている状態になります。
実際に買いと売りの両方を持つと、購入時のレートに差があることが分かります。
スプレッドによる損失が出ている状態は続くので、レンジ相場を狙う時もスワップを狙う時でもスプレッド分の損失を考慮して決済しなければいけません。スプレッドの広い会社だとそれだけ不利な取引になってしまうのです。
海外FXの両建てまとめ
海外FXの両建てについてまとめました。
- 両建てはトレンド相場ではなくレンジ相場で狙うと有効
- スワップのサヤどりの長期投資に最適
- 複数社、複数口座間での両建ては禁止
- スプレッドによる損失は出るので注意
リスクヘッジとして有効な手法ではありますが、両建てをするよりかは一歩方向を狙った取引をした方が資金効率は良くなるでしょう。
相場方向を予測する事がFXの本質であるので、大きな値幅を狙っていく方がトレードの技術が向上します。
スワップのサヤどりなどでは有効となるので、長期投資を考えている方は活用するといいでしょう。
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