海外FXでは、証拠金維持率が低下するとロスカットが実効されます。
多くのFXトレーダーはこのロスカットを警戒しており、どうにかして回避する取引を行っている傾向です。
本記事では海外FXのロスカットというテーマで、概要や回避方法について詳しく解説していきます。
ロスカットとは?!
ロスカットとは、FX会社による強制的な損切り措置のようなものです。
FX取引では証拠金維持率が会社の定める水準を下回ると、保有しているポジションが自動的に決済される仕組みになっています。
海外FX特有のハイレバレッジ取引は、証拠金維持率を必然的に下げてしまうのでロスカットの危険性が高まります。
会社ごとのロスカット水準
海外FXでは、会社によって定められたロスカット水準があります。
FX会社 | ロスカットの証拠金維持率 |
XM | 20% |
GEMFOREX | 20% |
Exness | 0% |
AXIORY | 20% |
TitanFX | 20% |
iFOREX | 0% |
およそ0%~20%ほどと低く設定されています。
仮に30%であっても自己資金はほとんど残らないので、ロスカットをされた時点で損失の方が多いと考えていいでしょう。
海外FXでは、後ほど紹介するゼロカットにより証拠金以上の損失を出さない仕組みになっています。
国内FXでは適用されないことから、ロスカット水準を高くして顧客の資産を守っているし組みです。
ロスカットが実効される順序
ロスカットは実効される前と後で海外FX共通の項目があります。
次はその順序について詳しく見ていきましょう。
マージンコール
ロスカットが実効される前には、まずマージンコールが実効されます。
マージンコール
証拠金維持率の低下でロスカット水準に近づいていることをお知らせしてくれるアラート。MT4のポジション画面が赤く光ったり、メールでのお知らせなど会社によって様々。
MT4やMT5を採用している会社であれば、保有しているポジションが赤く光るのみです。
あくまでもお知らせの機能であるため、特別大きな事が起きるわけではありません。
FX会社 | マージンコールの証拠金維持率 |
XM | 50% |
GEMFOREX | 50% |
Exness | 60% |
AXIORY | 50% |
TitanFX | 90% |
証拠金維持率が50%~90%ほどになるとマージンコールが実効されます。
ゼロカット
ロスカットは必ず実効されるわけではなく、相場の急変動などがあると証拠金がマイナスになることもあります。
海外FXではその場合、ゼロカットシステムが適用されるので証拠金以上の損失を出さない仕組みとなっているのです。
ゼロカットシステム
残高がマイナスになった場合、マイナス分をFX会社で補填してくれる制度。
海外FXの多くはスプレッドで利益を出しているので、「顧客に積極的な取引をしてほしい」と考えています。
ゼロカットを採用することで顧客は追証(追加証拠金)を気にせずに取引ができる仕組みです。
ロスカットの回避方法
ロスカットを回避するには、証拠金維持率を上げることが絶対条件となります。
次はそんなロスカットの回避方法を詳しく見ていきましょう。
追加入金or資金移動をする
ポジションの保有中に相場が思惑と反対方向に進んだとします。
そうなると証拠金維持率はどんどん低下してロスカットの危険が迫りますが、有効証拠金を増やすことで解消可能です。
取引中の口座に追加入金や資金移動で有効証拠金を増やせます。
証拠金維持率が低下している時点で、その勝負はかなり不利になっている状況です。
長いトレンドに巻き込まれた場合では、追加入金後に相場が転換してくるとは限りません。
よっぽど自信のあるポイントではない限りは、追加入金での回避は危険性も増すもとの言えるでしょう。
一度損切りをして、追加入金後に新たなポジションを持つことをおすすめします。
ポジションの一部を決済する
複数ポジションを持っていたとして、含み損の出ている一部ポジションを決済しておくと、一時的な証拠金維持率の上昇に繋がります。
含み損の出ているポジションが多いほど有効です。
ポジションを1つしか持っていない場合は別ですが、同じ口座内で含み損の出ているポジションがあれば諦めが付くものを解消しておくといいでしょう。
そこで証拠金維持率が下回った時に有効となるよ。
ロスカットと許容pips計算
ロスカットを回避する場合は、「〇〇pipsの相場変動で強制ロスカットされる」といった許容pipsを抑えておくことが重要です。
ロスカットまでの許容pipisを計算するには、必要証拠金とロスカット水準の有効証拠金を算出する必要があります。
- 必要証拠金=(銘柄の価格×ロット数量)÷レバレッジ
- ロスカット水準の有効証拠金=必要証拠金×ロスカット水準(%)
レバレッジは実効されるレバレッジではなく、その口座の最大レバレッジです。
ロスカット水準までの含み損=必要証拠金-ロスカット水準の有効証拠金
1000通貨の1pips | 10円 |
1万通貨の1pips | 100円 |
10万通貨の1pips | 1000円 |
有効証拠金をpips計算することで算出ができます。
この計算を例に、証拠金別での許容pipsを見ていきましょう。
- USD/JPY100.000円
- レバレッジ500倍
- 1ロット(10万通貨の取引)
- ロスカット水準20%
証拠金3万円の場合
証拠金3万円の場合での許容pipsは以下の通りです。
(100×10万)÷500=2万円
2万×ロスカット水準20%=4000円
ロスカットまでの含み損26000円
→26pipsで強制ロスカット
26pipsの相場変動があると強制ロスカットをされる計算になります。
26pipsは値幅の小さいメジャー通貨でも1日単位で動くので、それなりにロスカットリスクの高いものとなるでしょう。
証拠金5万円の場合
証拠金5万円の場合での許容pipsは以下の通りです。
(100×10万)÷500=2万円
2万×ロスカット水準20%=4000円
ロスカットまでの含み損46000円
→46pipsで強制ロスカット
証拠金5万円であれば、46pipsほどで強制ロスカットとなります。
値幅の小さい銘柄であればデイトレード向きではありますが、比較的損切りの水準には近いのでリスクのある取引と言えるでしょう。
証拠金10万円の場合
証拠金10万円の場合での許容pipsは以下の通りです。
(100×10万)÷500=2万円
2万×ロスカット水準20%=4000円
ロスカットまでの含み損96000円
→96pipsで強制ロスカット
証拠金が10万円ほどであれば96pipsなのでおよそ100pipsほどは耐えられる計算になります。
100pipsはドル円で言うと1円という単位です。
相場状況によっては1日単位で動く可能性もありますが、普段であればそれほどは動かないのでデイトレードでは比較的目安となるpips幅と見ていいでしょう。
ロスカットギリギリの勝負は有効?
一般的にはロスカットにならないよう、高い証拠金維持率を保って自身で損切りをすることがベストと言われています。
しかしそれは取引スタイルや口座残高にもよると言えるのです。
投資資金10万円
→投資資金10万円を入金して証拠金ギリギリの取引危険▲
→投資資金1万円を入金して証拠金ギリギリの取引安全◎
上記2つの違いは、再入金をして取引再開が可能かどうかです。
投資資金10万円で全てを海外FX口座に入れてしまうと、ロスカットされた時に再入金ができなくなってしまいます。
それに対して後者では、1万円を失った通しても投資資金の9万円は残るので安全です。
海外FXでハイレバレッジの取引をする際は、このような残高調整に注意しなければなりません。
ロスカットギリギリの粘った勝負は、残高調整さえできていれば有効な手法と言えるでしょう。
海外FXのロスカットまとめ
海外FXのロスカットについてまとめました。
- ロスカットは海外FX会社によって強制的に損切りされる制度
- ロスカット水準は会社によって異なる
- ロスカットが間に合わない場合はゼロカットが実効
- 証拠金ギリギリの取引は投資資金の調整ができていれば有効
FXをする際は、このロスカットや許容pipsの水準をよく見てあげるようにしましょう。
細かい数値までは把握する必要はないですが、ある程度の許容pips幅の理解は重要です。