FXの会社は、NDD方式とDD方式に分類されます。海外FXの会社ではほとんどがNDD方式が採用されていますが、そもそもの違いを知らないという方は多いでしょう。
本記事ではそのような方向けに、NDD方式のメリットやDD方式との違いについて詳しく解説します。
NDD方式とは市場に直接注文すること
NDD方式とは、「ノーディーリングデスク」方式の略称です。
日本語に直すと「海外FX業者を通さずにインターバンク市場と取引をする」事を指します。
FX業者を一切介さずにインターバンク市場との取引ができるので、市場のレートそのままで取引が可能です。
為替相場は投資家の売買によって相場変動が起きます。
NDD方式であれば個人投資家注文が市場に流れるので、必然的に為替相場に影響を与えているという事になるのです。
NDD方式の利益の出し方
NDD方式の会社は市場に注文を直接出す代わりに、スプレッドによって利益を出しています。
スプレッド
注文時にレートがスプレッド数値分不利な位置で約定されること。
FX取引の売買手数料とされている。
スプレッドは銘柄やFX会社によって大きく異なります。
NDD方式の会社はこのスプレッドで手数料を受け取っているので、「顧客側に積極的な取引をしてほしい」と考えているのです。
スプレッドは広ければ広いほど取引が不利になる仕組みとなっており、顧客はスプレッドの狭い会社を取引環境の良い会社と表現します。
NDD方式のECN口座
NDD方式を採用している海外FXでは、スプレッドの狭いECN口座を提供している会社も多いです。
ECN口座は通常の口座と違って、市場価格とほぼ変わらないレートで取引ができます。
とても有利な取引ができるんじゃない?
ECN口座では、会社の定める取引毎の手数料を支払う必要があります。
FX会社 | 1ロットあたりの手数料(往復) |
XM | 10ドル |
AXIORY | 6ドル |
TitanFX | 7ドル |
Exness | 7ドル |
BigBoss | 9ドル |
Land Prime | 7ドル |
1ロットあたり6ドル~10ドルほどの手数料が発生するので、取引回数が多いほど利益も減っていく仕組みです。
海外FXの会社としてはスプレッド利益の方が多く得られることから、ECN口座ではない通常の口座を使ってほしいと考えています。
そのためECN口座では「最低入金額を高めに設定」「ボーナスは対象外」といった制限をかけている傾向です。
DD方式との違い
NDD方式ではない会社をDD方式と言います。
DD方式
FX業者を介して取引する取引形態。
業者は市場価格を参考にしてレート提示をするので、不透明な方式と認識されている。
DD方式はNDD方式と違って、顧客の注文が市場に通りません。
そのため、注文を出したとしても為替相場には何の影響もないという事になります。
取引形態 | NDD方式 | DD方式 |
特徴 | 市場に直接注文が流れる | 市場に注文が流れない |
メリット | ・取引の透明性が高い ・約定が早い |
・スプレッドが狭い |
デメリット | ・スプレッドが広め | ・レート操作される可能性 ・約定が遅れる可能性 |
言い方を変えれば負けトレーダーが多いほど会社が儲かる仕組みだね。
NDD方式のメリット・デメリット
次に、NDD方式のメリット・デメリットを紹介します。
透明性の高い取引と言われているくらいなので、「NDD方式の会社しか使わない」という方はとても多いです。
具体的に見ていきましょう。
注文時と約定時のレート差がない
NDD方式では、海外FXを通さずに取引ができるので市場価格と同等で約定時のレート差がありません。
一般的に約定力の高いと言われている会社はNDD方式である傾向にあります。
スプレッドによるレートずれは当然発生しますが、それ以外は全て市場価格のレートが反映されます。
取引操作の心配がない
NDD方式が安全であると言われる理由には、前述したスプレッドで利益を出しているという点にあります。
スプレッドで利益を出しているのであれば、顧客の勝ち負けは一切関係ないのでレートの操作をされる心配がありません。
2021年1月には海外FXの大手XMとTitanFXで大規模なレート操作が行われているとの情報が流れました。しかし、XMとTitanFXはNDD方式でスプレッド利益を出していることから悪質なデマであることがすぐに発覚しています。
レート操作をすると顧客の損失は会社の利益に直結しない顧客離れに繋がるので、会社側にはデメリットしかありません。
NDD方式の会社であれば、悪質なレート操作や意図的な約定遅延はあり得ないと考えていいでしょう。
スプレッドが広くなる
NDD方式ではスプレッドでの利益を出すことから、DD方式の業者よりも広めのスプレッドが設定されています。
スプレッドが広めに設定されているとその分資金効率が悪くなってしまうので、小さ値幅を狙う際には特に不利です。
海外FXではボーナス制度が豊富に提供されている会社が多いですが、会社によっては全くボーナスがない会社もあります。
しかし、ボーナスがない会社ほどスプレッドが狭めで取引環境の整備に力を入れている傾向にあるのです。
国内FXではUSD/JPYで0.2pipsほどのスプレッド環境で取引できる会社もありますが、NDD方式の海外FXであればECN口座でない限り1.0pips~2.0pipsが平均です。
DD方式のメリット・デメリット
次は、DD方式のメリット・デメリットを紹介します。
スプレッドが狭い
DD方式はNDD方式に比べて、スプレッドが狭い会社が多いです。
前述したようにDD方式を採用している国内FXでは、USD/JPY0.2pipsほどで取引できる会社もあります。
NDD方式とは違ってスプレッドによる利益は関係ないので、DD方式の会社がわざわざスプレッドを調整する必要はありません。
海外FXでもDD方式の会社はありますが、国内FXほど小さいスプレッドは設定されていません。
取引の公平性がない
DD方式の最も大きなデメリットは、取引の公平性がないという点です。
顧客の損失が会社の利益に直結するという性質上、悪質な不正操作が行われないとは言い切れません。
- 約定時の大幅なレートずらし
- ストップ狩り
- 極端なスプレッドの拡大
- サーバーダウン
今現在では、ネットやSNSの普及によって悪質な運営をしている会社は減っています。
DD方式=悪い会社というわけではないですが、取引形態の性質上から透明性は低いと考えておきましょう。
MT4が使えない会社がある
海外FXでは、ほとんどの会社でMT4というプラットフォームを採用しています。
MT4とは?
ロシアのメタクォーツ社が開発した高機能為替取引ツール。
豊富なインジゲーターが標準搭載されており、同画面から注文決済が可能。
MT4は各会社で提供されますが、同じ共通のツールを使っていることになるのでレート操作などがあればすぐに明らかになります。
DD業者の中には独自ツールを提供している会社が多いので、MT4上で他社とのレートが比較できないのです。
NDD方式の会社とDD方式の会社一覧
次に、NDD方式を採用している会社とDD方式を採用している会社を一覧で紹介します。
自身が取引をしたい会社がどちらの取引形態であるかを確認してみましょう。
海外FXの一覧
以下は、海外FXのNDD方式とDD方式の会社一覧です。
NDD方式 |
|
DD方式 |
大手の海外FXでは一部業者を除きNDD方式が採用されています。
しかし、DD方式が採用されている会社で見ても設立年数が20年以上のiFOREXや、日本人人気の高いGEMFOREXがあるので安全性が低いというわけではありません。
国内FXの一覧
以下は、国内FXのNDD方式とDD方式の一覧です。
NDD方式 |
|
DD方式 |
|
国内FXでは、ほとんどの会社でDD方式が採用されています。
国内FXと海外FXではレバレッジやゼロカットといった大きな違いがありますが、取引形態も大きく異なる仕組みです。
ここまで見ると国内FXはDD方式を採用している不透明な会社が多いと感じるでしょうが、実はそんなこともありません。
国内の大手企業が運営している業者が多いので、国内FXでも取引の安全性が低いというわけではありません。
スキャルピングするならNDD業者一択
DD方式の方がスプレッドが狭いので、スキャルピングをするならDD方式の方が有利であると考える方も多いでしょう。
しかしそれは間違いで、スキャルピングをするのであればNDD方式一択であると言えます。
DD方式の会社では約定までの時間やずれが発生しやすいので、スプレッド以上に不利な位置で約定される可能性があります。
仮にスプレッドが狭かったとしても数値ずれによって不利になるので、NDD方式の会社が有利であると言えるでしょう。
- GEMFOREX→相場が急激に変動するタイミングのみを狙った取引は禁止
- iFOREX→スキャルピングそのものが禁止
- IS6FX→制限はないが約定力が低い
上記のように制限があったり約定力の弱さから、そもそもスキャルピングに適していない会社が多いです。
スキャルピング取引をしたいのであれば、NDD業者でスプレッドの狭い会社を選択して始めるといいでしょう。
海外FXのNDDまとめ
海外FXのNDD方式についてまとめました。
- NDD方式は市場に直接注文を出す透明性の高い取引形態
- NDD方式の会社はスプレッドor取引手数料で利益を出している
- 海外FXの多くはNDD方式を採用
- DD方式でも国内FXや一部海外FXでは高い安全性が担保されている
- スキャルピングではNDD方式が圧倒的に有利
NDD方式の方が公平性のある取引ではありますが、あくまでも仕組みの問題です。
必ずしもDD方式の会社が危ないというわけではありません。
しかし、短期売買のスキャルピングなどの手法がある方は、約定力の高いNDDを採用した会社を利用した方が良いと言えるでしょう。
コメント